『146』著 同僚から一目置かれる!会計思考77の常識
「📕著 会計思考77の常識」
・戦略やビジネスモデルは数字に落とし込んでいかなければ具体的にならない。
・経営センスと会計センスは表裏一体であり、ビジネスを成功させるために、一定の会計思考の能力が必要
○棚卸資産
商品・製品・仕掛品
○無形固定資産
特許
○ 売上債権
商品の販売やサービスの給付のように得意先との通常の営業取引によって発生した債権。受取手形と売掛金が代表的。
・ROE(自己資本利益率)は株主が投資している金額に対する儲けの率であり、株主からみた企業に対する投資効率を意味している
○総資産回転率
資産をどの程度効率よく活用して売上高に結びつけているかを示す。効率性に関係する。
売上高÷総資産
○財務レバレッジ
負債を使うことで総資産がどれだけ所有されているかを示す。自己資本比率の逆数。安全性に関係する。
総資産÷自己資本
・ROEは、事業の状況に変化はない中、分母の自己資本が減少し、借り入れを増やすことで金利が増える為、当期純利益も減少するが、借入の金利が低めであれば、分母の自己資本の減少に比較して分子の当期純利益の減少が小さくなり、ROEは高くなる可能性がある
・ROEの向上だけを重視すると、投資効率の良い事業だけを残して、投資効率の良くない事業は全てやめてしまうことにもつながり、規模縮小に向かう可能性がある。だからあらゆる指標から判断するべき
→日本企業のROEが低い要因として解雇規制や低価格競争などから生じる売上高当期純利益率の低さであると著者は洞察
・日本企業の売上高当期純利益率が低い理由
*過度な低価格競争
*事業や商品の選別や撤退についての意思決定の遅さ
*低収益事業から撤退する場合の解雇の困難さ
*ホワイトカラーの生産性の低さ
*儲けに対するこだわりの弱さ
*高い法人実効税率
*商品のライフサイクルの短さ
*エネルギーコストの高さ
・カルビーは購買コストの引き下げに取り組み、それによって低下した原価をもとに価格を引き下げ、それが販売量の増加や売上高の増加に繋がっていった。その結果、設備などの稼働率が向上し、固定費の負担が低下することで、利益の大幅な増加が実現した
→他には従業員に方針や目標をわかりやすく伝えてやる気を引き出すことやビジネスパーソンが物事を良く考えることの重要性を指摘
・借金することのメリット
借り入れをすると、金利を支払うことになる金利を支払うと企業の儲けが減り、本来であれば支払わなければならない税金が少なくなる。つまり節税が可能になる
→このメリットは儲けが出ていないと活かせない。つまり儲かっている企業が前提となる
○資本コストとは、外部から資金を預かるときのコスト、逆にいうと企業に資金を提供している株主や銀行などが求めている儲けの水準のこと。資本コストの面から考えると、無借金は、金利による節税効果によってコストが低くなる借り入れた資金を使っていないという意味で、もったいないという見方が出てくる
○WACC(Weighted average cost of capital)加重平均資本コスト
集めている資金の全体としてのコストのこと。借りた資金(借入金、社債)のコストと株主からの資金(equityと呼ぶことが多い)のコストをそれぞれ計算し、その2つの加重平均として計算される
・無借金のメリットである、財務的に安全な状態にいられるという点、デメリットである金利を支払うことによる節税ができなくなるという2つのバランスがちょうど取れるような適切な借入レベルのことを、借りた資金と株主からの資金の最適な構成比率、という意味で最適資本構成と呼んでいる
・価値が安定している資産をかなり保有し、事業も安定しており、儲けが出ているような場合は、それなりの資金を借りていても問題がなく、逆に無借金を目指す必要性はあまりないことになる
→事業に不安定な傾向があり、儲けがあまり出ていない、あるいはぶれてしまう場合は、借り入れを少なくすることが望ましく、無借金を目指すことの意味が大きくなる
①キャラクターを活用したヒットの継続
→ヒットの確率を高めら売上高の変動を抑え、長期的な売上高確保に繋げている
②コスト削減と品質の安定化
→強みである企画開発に注力するべく、ハード面は外注をベースにしている
③工場を持たない経営
→固定費の圧縮と固定費を外注費という変動費に変えて、売上高が低下しても利益が低下しにくい体制づくり
④借金をせず、資金の保有
→エンターテイメント業界は人の嗜好変化が激しい為、リスクに備えてゆとりを持った経営をしている
→これらは業界や企業の特徴によりリスク管理は変わる。自分はどこに属しているのか?を整理して柔軟に振る舞いを変えてゆこう
・リスクの定義はいい方向、悪い方向に関係なく、先が見えない不確実な状況を指す
→原理原則として「ハイリスクハイリターンとローリスクローリターン」がある
・固定費が嵩む事業は、市場を読む力がないと不景気時や流行の移り変わりで利益が下がる。
・企業の成長スピードの適切性を評価する場合、市場全体の成長や競合企業の成長と比較したり、またシェアが維持できているかどうかを確認することが重要になる
→市場全体が成長しているときは、その流れに沿っていけば比較的成長はしやすい。一方で、市場が成熟してくると、成長するためにはシェアの上昇が必要になり、これは競合企業との間で限られた市場を取り合うゼロサムの戦いになる為、ハードルが高くなる
・希少価値やブランド価値を高めることが重要なビジネスでは、必ずしも売上高の成長を重視する必要はない
・株主の評価は、一般に持続的に事業から生み出すキャッシュフローを高め、株主が求めている以上の投資効率を実現し、株価の上昇と配当からなる株主への分配をより多く生み出してくれるかどうか、といった点が中心となる。そしてそれを実現するためには、売上高の成長、また利益の成長といった規模の拡大が重要なポイントの1つになってくる。したがって、上場公開している企業は、成長を重視することが必然的に求められることになる
・ある企業の社長「高い成長率を継続することより、何年かに1回成長スピードが緩やかになるような、年輪のできるような成長の仕方がいい」
→高い成長率を継続すると、人材の確保、管理体制の構築、社内でのカルチャーの共有が追いつかず、将来的には大きな問題につながる可能性もある
・ニトリの高利益体質の理由
海外での自社工場を中心に、外注先に対しても品質調査や製造工程の改善指導を行いながら、商品の90%以上を海外で製造、調達し、商品自体のコスト低減を図っている
自社の物流センターを保有し、グループで物流機能を担うことで、物流コスト低減や業務の効率化を図っている
「顧客が求めるいいものの水準」
「良いもの」であるかは、「顧客にとって良いものか」「顧客は評価するのか」「競合品と比較して良いものか」という視点で考えることが重要。
・新商品の価格設定は、競合企業に対して、類似した製品を仮に発売した場合に儲けやすいかどうかといったメッセージにもなる可能性があることには、注意が必要
・価格の引き下げを販売数量増加やコスト低減で埋め合わせて、利益を維持し、増加させるためには、一般にかなりの販売数量の増加、大幅なコスト削減が必要になる。価格の引き下げあるいは値引きは、色々なコスト削減の仕組みや販売数量増加への施策をしっかりと考えたうえで、実行することが重要である
・値引きよりおまけを。顧客は値引き後を定価と感じてしまう。売れなくなる可能性がある中で、おまけはお得感が増し満足してもらえる
○ ドミナント(dominant)
1 支配的であること。優勢であること。「ドミナント戦略」「ドミナント規制」
・コスト削減を行う場合でも、コストを一律に削減するのではなく、必要に応じてメリハリをつけて、品質についての取り組みや将来を見越した設備投資や研究開発投資などは適切に実行していくことが大切
・管理費、物流費といった守りのコストは、コスト削減の重要性は高い。一方で研究開発費、販売促進費、広告宣伝費といった攻めのコストは、一定のコスト意識も必要、効果を高めるにはどうするかの点が必要
・アウトソーシングする業務の内容の選択、アウトソーシング先の管理や評価の体制、アウトソーシング先の内部統制やガバナンスなどに注意を向ける必要有り
・フリーキャッシュフローは、自由に使えるキャッシュフローを意味している。企業に資金を出している株主あるいは銀行や社債保有者といった債権者に自由に分配できるキャッシュフローのことを意味している
・フリーキャッシュフローは事業や企業価値の評価尺度になる。投資家が事業や企業を評価する際には、フリーキャッシュフローの将来予測が評価のベースになる
・減損損失は計算上の損失であり、その年度のキャッシュフローに影響はない。ただ、減損損失がでていることは一部の事業が苦戦している。または、今後それほど儲けられないといったことを意味しているので、情報として一定の重要性はある
○シナジー
一般に複数の企業あるいは事業の間で、色々なことを共同で行ったり連携することによって、より大きな成果を生み出すことを意味している
○ ロイヤルティー【loyalty】
忠誠。忠実。
ロイヤルティー【royalty】
特許権・商標権・著作権などの使用料。ローヤリティー。ロイヤリティー。
「顧客重視」
顧客をある程度絞り込み、自社の商品やサービスを評価してくれ、また一定の儲けをもたらしてくれるとともにリピートもしてくれるような顧客をより大事にし、より関係を強化するような方針も必要になる
「シェア拡大のコスト」
規模拡大を重視する場合には、儲けを効率よく上げるために最適なシェアを意識することも重要になる。一般にシェア50%を超えた段階でのシェアアップはコストが高くつくとされている