『121』知識を大拡充せよ!著 トヨタ生産方式の基本と実践がよくわかる本
「📕著 トヨタ生産方式の基本と実践がよくわかる本」
・企業が存続する為には、常に「儲ける」企業活動を継続して行かなければならない。その為に必要なのが売上の確保と原価の低減。
5S
整理・整頓・清掃・清潔・躾
→5Sよりムリ・ムラ・ムダを排除してバラツキを低減し、仕事を安定化させる
→5Sより改善ニーズが明らかになります
・5Sはバラツキを管理領域として捉え、誰がいつ行っても、間違いなく正しく最短時間でできることを目指す
・5Sの中でも「整理・整頓」の2Sが特に大切。整理とは「いるものと要らないものを区別して要らないものを処分すること」、整頓とは、「いるものを使いやすい場所にきちんと置くこと」です。正しく早く行うのがゴール
→工場内の工具などだけでなく、仕事そのものに対して5Sを当てはめていくことが大事
○ ガントチャート
作業の日程を管理するための図解のこと。同様の図解にアローダーイヤグラムがあるが、小規模なプロジェクトで、作業工程もあまり複雑でない場合には、ガントチャートが利用される。
・整理とは、不用品を撤去し、スペースの有効活用を図り、「今」の仕事に必要なものを最適管理すること。それ以外は、別のところに保管したり、処分したりすること
○整頓のルール
①先入先出しが可能
②運搬しやすい置き方
③取り出しやすい置き方
④製品別置き方
⑤機能別置き方
⑥モジュール化
⑦直置き禁止
・工場内の巡回などせず、「やれ!やれ!やれ!」で現場にも行かない、フォローもしない、任せっきりという状態ではやがて活動は消えかねない
・残された課題とは
時間が無くて最後までやりきれなかった事柄
お金が掛かる事柄
処分する判断がつかなく、担当者に確認する必要のある事柄
他の部署に解決してもらわないとすまない事柄
→これらを一覧表にまとめ、組織で共有化する。そしてそこから改善策を考え、実行に移す
・5Sができないところは管理力も弱い。守れないことに対し、管理者は何も言わないし、作業者も特に罪悪感を持たない。忙しいからできな、外国人だから仕方がないでは、どんなに小さなことも守れなくなる。決められたルールはしっかり守ることは基本。
・作業者の動きには、大きく分けて作業とムダが存在します。その作業の中にも正味作業(付加価値を生む作業)と付帯作業(付加価値のない作業)があります。正味作業・付帯作業・ムダという3つをそれぞれに分け、その中で無駄を徹底的に排除していく。
→ムダには
①加工そのもののムダ
②不良をつくるムダ
③運搬のムダ
④作りすぎのムダ
⑤在庫のムダ
⑥動作のムダ
⑦手持ちのムダ
・いくつかの工程や機械工程を経て完成品が加工される場合、各工程(設備)の生産能力にはバラツキが生じます。そこで、各工程の生産能力を定時間で最大何個加工できるか明らかにし、その中でボトルネックとなるネック工程を確認することで、その工程の生産能力を上げる改善の手がかりとする。
○省人化
作業改善や設備改善により、人を1人単位で省くことを指す
○ワークサンプリング
作業システムの改善と設計に用いられ、改善余地の発見と優先付けや作業組合せの基礎資料などの稼働率を把握する為や、機械の費用対効果推定などの作業の構成比率を把握する為に用いられる
・動作改善の着眼点
①歩行を無くせないか、歩きながらできる作業ないか
②作業区域内のモノ、工具の配置見直し
③作業高さが不適切、踏み台、モノ、工具の高さ見直し
④空いた片手に仕事を与える
⑤操作板は最短か
⑥同一工具を、1サイクルの中で持ち替えていないか
○ TPM
〖total productive maintenance〗
総合生産保全。生産設備を見直し、能率向上のために改善すること。
・ムダ取り改善ができ、個々の職場の標準化が図られると、次はここの前後工程をつなぎ合わせ凍結した整流化を図ります。流れのないところには停滞が生じて在庫が発生する。リードタイムが短くなれば、在庫が削減され、品質も向上します。リードタイムが削減されれば、原価低減が実現する
・欠品を恐れていつ注文が来てもすぐに出荷できるよう在庫は多い方が安心という安全在庫神話では、在庫が生まれ、流れが悪くなり、時間とコストでデメリットに
・改善に必要なのはスピードと行動
・1つの部品・製品を作るためにかかる必要工数・設備の正味工数などのことを原単位と言い、設備ごとに生産数・設備負荷・必要工数・負荷率などを明らかにする。流れを作りやすくするために、設備・工程へのものの流し方、変動を最小にする仕掛けの仕組み、人員配置などを改善し、仕掛かり在庫の削減に繋げる
Ex
①収容数
②切替時間
③主体作業の準備にかかる時間
・改善による短期的なマイナス影響はあるが、長期的にみれば効果有り
・可動率は、設備を動かしたい時にいつでも動いてくれる状態の確率のこと。常に100%が理想。
→改善には
①停止時間・停止要因は全て記録する
②要因別に停止時間をまとめる
③生産数は、タクトタイム×良品出来高数で計算する
④要因別にまとめた時間で積み上げ棒グラフをつくる
⑤操業時間で良品出来高数を割り、100をかけて可動率を出す
・見かけの能率として、10人で10個のところ、10人で12個作る
→在庫スペースのムダ、在庫移動のムダ、在庫積み増しのムダ、在庫管理のムダ
→真の能率とは、9人で10個作ること、
①現状を把握し絵にする
②あるべき姿を描く
③現場の姿とあるべき姿のギャップから問題点を洗い出す
○仕掛かり品
製造工程の途中にあり、まだ製品・半製品に至らない、加工中のもの。仕掛け品。「仕掛かり品勘定」
○ジャストインタイム
必要なものを必要な時に必要なだけ
在庫を極力持たない生産管理の仕組み
・計画生産方式は、見込み生産で需要予測を基にしていますが、この需要予測は季節変動・新製品売れ行き具合・市場動向などから、実際にはなかなか精度が上がらない。
→各部署の連絡・情報不足でいつ頃需要が動き、生産能力をどのように調整し、原資材調達をいつごろまでにしなければいけないのかを明確にすり合わせる
・「平準化」がされていなければ、設備・人・在庫などをピークに合わせて準備してしまい
・生産量が仮に20%増加すると見込まれると、生産枠を20%拡大する
①残業
②受援
③外注化
④休日出勤
⑤ライン専用化
⑥タクトタイム短縮(能力増強)
→生産量の減少が見込まれる場合は、
①教育・訓練
②応援
③有給キャンペーン
○ 係数
数といくつかの文字の積(単項式)において,そのうちのある文字に注目したとき他の因数全体をその文字の係数という。たとえば2ax2で2はax2の係数,2aはx2の係数。
○発注量
一日あたりの平均需要量×在庫日数
○発注点
安全在庫量+(1日当たりの平均需要量×リードタイム)
○リードタイム
発注から入荷までの時間
○安全在庫
一日あたりの平均需要量が振れた際欠品にならないために持つ在庫
○最大在庫量
安全在庫+発注量
・管理監督者は、4M(人、機械、手法、材料)の状況を常に把握し、作業者に仕事の指示をしなければならない。作業者任せで仕事をさせている会社は、管理不在で改善も進みません
・機械や工程はなるべく近くに寄せて歩行の無駄を抑えながら、一人工の追及を行う
・「作業手順書」を作る目的は、
①正しい作業を設計するため、今やっている作業を書き写すことではなく、会社として品質、生産性、納期を満たす正しい作業を設計する
②管理・統制のため、作業者を指導し管理するためにも、管理の基本となる正しい作業を作業手順書によって提示し、教育、指導する
③知恵を財産化し共有するため、作業者個人の中に培われてきた作業のノウハウを組織の財産として見える化し、属人化しやすい作業の知恵をみんなで共有する
・品質確認事項の見える化
適切な作業が実施されたことを確認する為の品質確認事項を明確にし作業手順書に明記して、確認する事を徹底する
・作業に入る前に、予め、正しい原材料や部品、正しい手順や環境、確かな設備、型、知工具、正しい確認や検査が用意されるように段取りを心がける
「困らなければ知恵は出ない」
○TPM(Total Prductive Maintenance=生産保全)は、ロスゼロ(災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ)を図るために全員参加で取り組みながら、ロスを発生させない予防保全の仕組みを現地現物で構築し、生産システム効率化を図り儲ける体質をつくる事
→自主保全と呼ばれ、可動率を高めるために、改善活動が行われる
→保全には①劣化を防ぐ②劣化の測定③劣化の回復④改良保全などがある。これらを保全カレンダー、予備品管理の'見える化'保全技能の向上等で劣化対策を行います
4Mの要素分解
人(人数・力量・意識)
施設・設備(ハード・ソフト)
方法(技術・手法・仕組み・システム)
原材料(有形・無形・コンテンツ)
・実際の現場では、色、形状、サイズなどの品質不良、数量変更、納期変更、チョコ停などの設備故障、資材不良、設計変更、事故怪我等、内部や外部からの要因で生産計画通りに進まない状況が発生するので常に「進捗を見える化する」
・ホワイトカラー部門においての「仕事の整理」でムダを排除する
→顧客にとって価値のあるもの、ないものを分け、今の仕事において顧客にとって価値のないことを止める
・トヨタ方式導入を行う場合、会社の本気度と経営トップの関与が無ければ、挫折してしまいます。必ずトップを巻き込んで、単に現場改善ではなく、経営革新、組織風土革新という位置づけで行なっていく
→目的と方針の共有を怠らない
①目的:会社方針に則して、自分たちの目指す姿
②方針:先の向かうべき方向や共有する価値観・原則・こだわり
(他には、スローガン制定などでメンバーのプライド醸成に)
・目標とは、方針に則して、目的を実現するために、期限を切って、到達すべき事を示したもの
→目標は、到達点であり、到達できたか否か測定または判定可能なものが望ましい
・「活動スケジュール」は改善ストーリーに沿って
①現場把握→②目的・方針・テーマ選定③改善目標の設定→④要因解析→⑤改善案の立案→⑥改善成果の測定→⑦標準化・歯止め→⑧運用と水平展開
以上の流れが好ましい。そして考えるよりも「行動」がすべて。
・「活動ルール」
PDCAサイクルをどのように回し、またDOが出来ているかを確認するためにも活動ルールをチーム内で共有する事で、リーダーだけが必死になって活動するという事態を防げる。
相互を刺激し合い、助け合う場を作るためにも、日々のミーティングやレビュー活動も重要視しよう。
○ プロット(plot)
1 小説・演劇・映画などの筋・構想。
2 統計などで、データを図表上に示すこと。
・「結果指標」
①5S:省スペース、不要品廃棄量、探す時間の削減、活動への参加率
②ムダ取り改善:出来高/時間、省人数、可動率、残業時間、ラインストップ時間、不良率、在庫量、リードタイム、生産性
○ 原価低減活動
様々な視点、手法により原価を低減させるための総合的な活動のこと。低減対象となる原価の構成要素は、原材料費、労務費、設備の減価償却費、開発費用の配賦費、流通費など多種多様である。したがって、この活動の開始にあたっては、低減目標(金額、低減率)に応じた原価要素の洗い出しや、活動体制(組織、チーム)、メンバー、期限などを明確にして計画的に推進する。また、原価低減活動を推進するためには目標原価の設定が必要となる。
・改善は結果よりそこにつながる方策をどのように行ったかという改善プロセスが重要。異常を見つけ、着実に手を打つことが定着すれば、それが企業風土になっていく。その行動が習慣化されれば、おそらく次の改善活動では目標達成されることになる
・チームの活動進行管理の見える化を行う
→見える化で遅れているチームの活動を促進させる
・活動遂行においてチーム間の「報告・連絡・相談」の共有を逐次行い続ける
(口頭、メール、ポストイットなどで,専用ボックスも面白い)
・「活動の見える化」を目で見る管理ボードで
①必要な情報の形式知化と共有
・組織の目的・方針・目標等の形式知化と関係者への周知にする
・目的・方針を実現する為の体制・手段・スケジュールなどを明確にする
②つながりを明確にする
・組織の目標と個人の役割・行動のつながりを明確にする
・目標を実現するために必要な行動を明確にする
③自律管理
・自分達の進むべき道の認識を高める
・適切な活動の継続を自ら監視し、確証を得る
④組織能力を高める
・異能が集い、知識と経験を共有して、新たな気づきを得る
・互いに助け合い、励ましあって、組織のストレス耐性を高める
・競い合い、刺激しあって、競争心と向上心を高める
⑤プライドと責任感を持たせる
・自分たちの活動を公共の場に示し、活動に対するプライドと責任意識を高める
⑥現地・現物・現認(三現主義)の推進
・経営者・幹部が現地・現物・現認で管理・改善活動にコミットする場をつくる
・「改善成果発表」
狙いは
①資料をまとめたり他人に話しかけたりすることで、自分自身で活動のプロセスを振り返り、どのような行動をとってきたのか整理する
②改善ストーリーの流れを学習する
③他グループとの知恵の共有化を図る
④他グループの良いところを盗む(共有する)
⑤自分たちのレベルがわかる
⑥残された課題を明らかにして、次のテーマや目標へ進む事をしやすくする
⑦改善結果が標準化される
⑧他職場への横展開が可能となる
⑨人前で話す事で自信が生まれる
→質疑応答、資料の徹底的な準備が必須
→現場のことを全く知らない人が聞いてもわかるようなストーリーを作る必要がある。対象現場の現状や取り上げた理由から始まり、どのような目標を立てその結果がどうなったか、その結果に至るまでの改善内容はどのような取り組みをしたか、残された課題として次回どのようなことをしたいかなどの流れで総括表にまとめる
→表彰の基準は①内容は分かりやすかったか②発表時間は適切であったか③発表態度は適切であったか④努力の跡が見られたか⑤改善効果はあったかなどで行う